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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2006年2月 「花粉症対策」点鼻薬性鼻炎と、妊婦さん・授乳婦さんの場合の注意点

ことしの冬は思いの外寒く、春はまだまだ遠いと考えておられる方も多いでしょう。

でも、もう2月です。とても寒い日でも、日の光はいつのまにか明るくなっていて、年末のクリスマスの頃とはだいぶ違います。

そして、あのスギ花粉が飛び始めるのも2月です。東京都花粉症委員会の予想では、2月15日ごろからスギ花粉が飛散を開始するといわれています。花粉症の対策は1月のこのtea breakで述べたとおりです。
くり返しますが、
 (1)セルフケアー花粉症の症状を軽くするために自分でできること。
 (2)薬による治療  ―  花粉症治療の中心になります。
の2点です。

今月はさらにもう少し細かい点についてふれたいと思います。ひとつは「点鼻薬性鼻炎」について。もう一点は「妊婦さん、授乳婦さんの場合の注意点」です。

1:点鼻薬性鼻炎

てんびやくせいびえん?何それ?聞いたこともない。漢字が並んでいてむずかしそう・・・。

とおっしゃる方も多いことでしょう。「点鼻薬」というのは鼻にシュッシュッと噴霧するスプレーのことです。この点鼻薬が原因でおこる鼻づまり、鼻水を主症状とする状態を点鼻薬性鼻炎といいます。

点鼻薬にもいろいろな種類がありますが、血管収縮剤、つまり鼻のとおりを良くして鼻づまりをとる成分が含まれているスプレーが原因になります。ですから病院で処方してもらう点鼻薬だけでなく、町の薬局で売っている点鼻薬でも点鼻性鼻炎はおこります。

この点鼻薬は鼻づまりの治療薬として花粉症だけでなく、ダニやハウスダストが原因で一年中おきるアレルギー性鼻炎や、かぜの症状の鼻づまりの治療にも使われます。

鼻づまりをとるための鼻のスプレーが原因で鼻づまりがおこるなんて何か変だな?と考えた方は鋭い!!  血管収縮剤の点鼻スプレーは使いすぎるとだんだん効かなくなったり、使わないときには逆に鼻づまりがひどくなってしまいます。

つまり「使いすぎない」という点が大切です。花粉症のように使用期間が1か月を越えるような場合は、どうしても鼻づまりがひどいときのみ用い、1日の使用回数は3回を越えないようにしましょう。病院で処方される点鼻薬で血管収縮剤の入っていないもので、1日4回使用というものもあるので、点鼻薬を処方されたら使い方をよく説明してもらって理解してから使って下さい。

もしも点鼻薬を使っても鼻づまりが以前ほど改善されない、かえってひどくつまるようになった場合は、点鼻薬性鼻炎を疑って下さい。そして耳鼻咽喉科医に鼻の中を見てもらい、鼻づまりの原因を調べてもらいましょう。点鼻の回数をふやしたり、もっとよく効く薬にしようとして他のメーカーの点鼻薬に変えたりしないで下さい。症状がさらに悪化します。

治療法は、耳鼻咽喉科医に相談し、もし点鼻薬性鼻炎の場合はいったん点鼻薬の使用を全くやめるか、又は1日1回程度に減らして粘膜の反応性がもとに戻るのを待ちます。1〜2週程で戻ります。

花粉症の症状は大変つらく、特に鼻がつまって夜も眠れない場合はつい点鼻薬を使いすぎてしまうことが多いものです。でも「点鼻薬性鼻炎」という言葉を頭の片すみにおいて、点鼻薬だけに頼りすぎないように御注意下さい。

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2:花粉症の妊婦さんや授乳婦さんの対策(注意点)は?

現代は5人にひとりが花粉症という時代ですので、妊婦さんや授乳中の方で花粉症という方も多いと思います。花粉症の症状も大変つらいとは思いますが、赤ちゃんにとっては大切な時期ですので、注意して下さい。

(1)妊婦さんの場合

1)妊娠2ヶ月まで

もっとも敏感な絶対感受期という時期ですので原則としてすべての薬剤はやめて下さい。点鼻薬のような外用薬もです。

2)妊娠3〜4か月

抗アレルギー点鼻薬は短期間であれば可能ですが、なるべく症状の強いときにのみとどめて下さい。

3)妊娠5か月〜

抗アレルギー薬の内服も短期間であればできますが、なるべく少なくして、点鼻薬を使いましょう。

(2)授乳婦さんの場合

抗アレルギー薬は全て乳汁中に移行します。抗アレルギー点鼻薬の短時間使用にとどめて下さい。

このように妊婦さんも授乳婦さんも花粉症の薬には強い制限がつけられます。妊婦さんや授乳婦さんでも安全にできる方法は「局所的温熱療法」で、専用の医療器械(家庭用)もありますが、蒸しタオルを用いて1回15分以上、1日3回以上使用して鼻閉や鼻汁を軽減することもできます。重症のスギ花粉症の方で、妊娠時期が花粉の季節にぶつかる方は、季節前に鼻のレーザー手術やアルゴンプラズマ手術を受けておくとよいと思います。

 

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