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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2007年4月 声の衛生について

 「声の衛生」と聞くと、皆様は何を連想なさいますか?
ふだん何げなく出している「声」に衛生なんて必要なのかしら?と感じると思います。

 しかし空気と同じで、ふだん大変御世話になっているのに、それを自覚していないものがいったん使えなくなると、とても困ってしまいます。たとえば、接客業、営業、学校の先生などの方々は声が出ないと仕事になりません。いくら身体が元気でも、声がかすれていては充分にはたらくことができません。それ以外の職業の方でも電話の対応や会議等がありますので、声をつかわずに仕事ができる方はほとんどおられないと思います。私たちは、意外に声に御世話になっているのです。この機会にぜひ「声の衛生」管理に注意を払って下さい。

 私達が普段何気なく使っている声は、どうやって、どの様にでるのでしょう。「声」は肺から出てきた息が気管を通って、そのてっぺんの、丁度のどぼとけの奥にある、筋肉と粘膜でできた声帯を振動させて音になり、その音に口や鼻で響きが与えられて、口から外に出て初めて「声」になります。私達は、普段この声を自分の耳で聞いて、無意識のうちに、その大きさや高さを調節しています。したがって、鼻が悪い時に鼻声になったり、うるさい所でいつのまにか声が大きくなったりします。また激しい運動の後など、息が乱れているときは声が出にくくなります。従って、耳、鼻、肺、気管などすべて健康でなければ良い声は出ません。

 では、のどに病気があると声はどの様に変化するのでしょう。「かすれ声」「ガラガラ声」などとよばれる声の変化を総称して、嗄声(させい)といいます。嗄声は、声帯付近に病気がある時にみられ易い症状で、左右の声帯が十分に閉じなかったり、規則的な振動が起こりにくくなったために、息に息漏れや音の濁りの雑音が混ざった状態をさすものです。子供の嗄声(小児嗄声)は、小学校では1クラスに数名はいると言われており、この事から学童嗄声とも言われ、小学校低学年の男子に多くみられます。学童嗄声の原因は色々ありますが、大部分は声の濫用(声の無理な使いすぎ)によるものです。

 学童に嗄声の多いことは必ずしも日本だけの事ではありませんが、諸外国に比べ一般的に日本の子供は、大声で騒ぐ傾向が強いことが古くから指摘されております。確かに日本では、大きな声をだして遊ぶ事は「元気があってよろしい!」というイメージがあり、特に近年スポーツ振興がうたわれ、それにともないスポーツで大声をはりあげる子供が増えております。

 一番大切なことは大声をはり上げる習慣をつけないように、日頃の「声の衛生」管理が必要なことです。

■「声の衛生」のための注意事項

  1. 叫んだり、金切り声をあげたり、大声で笑うことをさける。
    ・応援する時は、みんなで声をそろえれば小さい声ですみます。
  2. 咳きばらい、空咳は必要最小限にとどめる。
  3. うら声で話したり、無理な高さで発声することを止め、ささやき声もさける。
    ・自分にとって、最も楽な大きさと高さの声ではなす。
  4. うるさい機械のそばや、大きな音で音楽を聞いている時、ドライヤーを使っている時、バス、電車、地下鉄、飛行機、自動車のなかなど、うるさい乗り物のなかでの会話をさける。
    ・うるさい所ではおとなしくする。必要なことは相手の耳もとで話す。
  5. 話したくても、思う様に声の出にくいときは、無理に話さないようにする。
    ・楽に出せる声を使う。筆談も一つの方法です。
  6. 話をするとき、首、肩、胸、のどなどに、力をいれない。
    ・発声が一番楽なリラックスした姿勢で話す。呼吸法も大切です。
  7. 冷たい空気や、乾燥した空気の場所はさける。
    ・部屋の中では、適度の温度と湿度を保つ様にする。
  8. けむたい所や、ほこりっぽい所、タバコを吸っている人のそばに行くのは、さける。
    ・タバコの煙や、ほこりは声の敵です。
  9. 屋外や広い部屋で遠くの人に対して話すのはさける。
    ・相手の近くへ行って話す。
  10. 風邪をひかないように注意し、風邪の時はできるだけ声を休める。
    ・疲れた時や、風邪の時はまず体も声も休ませる。

以上の注意を守るのも大切ですが、その前に人が話をしている時は、話している人の気持ちになって、静かに最後まで聞く姿勢を身につけましょう。

「健康な心と体に良い声が宿ります。」

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