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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2007年8月 中耳炎について

先々月、6月のコラムは、耳と鼻とのどは実はみんなつながっているというお話でした。今月は6月のつづきで、ではつながっていると病気にどう関係するかというお話をしたいと思います。

1.急性中耳炎
 子どもさんに多い、耳が痛くなって、時には発熱もする急性中耳炎です。原因はおふろやプールで耳に外から水が入ったから、と考えていませんか?

 答は「ブー」です。

 鼓膜に既に穴がある場合(たとえは慢性中耳炎)では、外から耳に水が入ることが中耳炎の原因になることもあります。しかし、鼓膜に穴がない時は、外から耳に入った水が中耳炎の原因になることはありません。鼓膜より奥へ(中耳内へ)水が入ることはありませんから。

 では中耳炎をおこす細菌やウイルスはどこから中耳に侵入するのでしょうか。

 答は上咽頭(鼻の奥)です。

 上咽頭に鼻汁(後鼻漏〔こうびろう〕といいます)がたまっていると、この鼻汁の中には中耳炎の原因となる細菌やウイルスがたくさんいます。これが上咽頭と中耳とを結ぶ「耳管」を通って中耳に到達して炎症をひきおこすと中耳炎となります。

 つまり、中耳炎は外からでなく、鼻の奥(上咽頭)から始まります。ですから急性中耳炎になる子どもさんは鼻汁がズルズルしていることが多いです。鼻汁はもちろん鼻の穴からもでてきます。(前鼻漏といいます)が、鼻の奥からのどに回る後鼻漏も意外に多いのです。しかも後鼻漏があることは、御本人も気付いていないことがめずらしくありません。朝起きるとまず痰をはき出す人は寝ている間に後鼻漏がのどに回ってたまり、痰になっている可能性があります。

 鼻の奥の上咽頭にたまっている後鼻漏が急性中耳炎の原因ですので、急性中耳炎の治療は、耳の治療のほかに鼻の治療も必要になります。小さいお子さんで、中耳炎をくり返す人はまず鼻の治療をこころがけて下さい。

 このような子どもさんは少しでも鼻汁がありましたら早めに耳鼻咽喉科を受診して、早めに治療を受けて下さい。鼓膜を見ることは耳鼻科医でないとむずかしいですが、鼻汁の様子はお母様方にもすぐにわかります。急性中耳炎になったことのあるお子さんの場合は鼻汁が認められましたら早めに耳鼻科を受診して下さい
 

2.航空性中耳炎

 かぜをひいて鼻がつまり気味なときに飛行機にのると耳抜き(圧調節)がうまくできないで「航空性中耳炎」になることがあります。耳が痛くなったり、中耳腔に液体がたまって聴こえが悪くなったりという症状が飛行機の離陸、着陸の後にみられます。この場合も鼻の治療を同時に行なう必要があります。

ふだんの旅行ももちろんですが、夏休みの家族旅行で小さいお子さんが飛行機に乗る機会も多いと思います。鼻がグズグズしていたり、今までに飛行機に乗って耳が痛くなった経験のある方は、旅行に出かける前に一度耳鼻咽喉科を受診して飛行機に乗るということを伝えて、鼻の治療を受けて下さい。旅行先で耳が不調になるのはつらいですので。

では皆様、楽しい夏休みをおすごし下さい。

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