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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2009年6月 扁桃とアデノイド Part1

 そろそろ湿度が高くなり、季節の移りかわりを感じていらっしゃる方も多いと思います。梅雨の季節になりますとダニやハウスダストを抗原とするアレルギー性鼻炎の方は症状が出やすくなります。じめじめしてどうしてもダニがふえやすくなるなるためです。お天気がよい日はふだんにもまして部屋の換気や掃除機がけを心がけて下さい。

 今月からは「扁桃とアデノイド」についてのお話です。
「扁桃」とか「アデノイド」という言葉はお母様方が子どもさんを耳鼻科につれていかれた時によく聞くと思います。また、学校の健診で「扁桃肥大」と記された紙を子どもさんが持ち帰り、「びっくりした」、「どうすればよいだろう」という経験をお持ちのお母様もおられるでしょう。よく聞く言葉だけど、どういうものなのかはっきり知りたいという方もいらっしゃるでしょう。

 まず、のどにはリンパ組織がたくさんあります。鼻や口から吸いこむ空気や口から食べる物など外から体の中にとりこむ物の中には細菌やウィルスなど、体にとって歓迎できない病原体が含まれることがあります。これらを迎え撃つためにのどにはリンパ組織が発達しています。

 図は口をあけたところですが「Waldeyer咽頭輪」というリンパ組織のあつまりがあります。少し細かい話になってしまいますが、Waldeyer咽頭輪には次のような扁桃組織があります。

Waldeyer

◎口蓋扁桃(こうがいへんとう):いわゆる扁桃、扁桃せん
○咽頭扁桃(いんとうへんとう):アデノイド
○耳管扁桃(じかんへんとう)
◎咽頭側索(いんとうそくさく)
◎咽頭後壁リンパ濾胞(いんとうこうへきりんぱろほう)
○舌扁桃(ぜつへんとう)

◎印は口を開けると見えるもの、○印は口を開けてもかくれて見えないものです。
ここでお話が横にそれますが、たまに「のどにできものができました。何か悪いものではないでしょうか。」といらっしゃる方がおられます。「できものができた。」とおっしゃるからには御自身でそれをみることができるわけですから、鏡をのぞきながら指し示していただくと咽頭後壁リンパ濾胞であることがたまにあります。たしかに小豆大のまるいものがポツポツと不規則にのどの壁に並んでいるので、はじめてみる方はびっくりされると思いますが、もちろん正常組織です。のどに炎症があると赤くはれることはあります。でももし、気になるようでしたら遠慮なく耳鼻咽喉科で御相談下さい。見えないところに何かあることもありますので。

 話がもとに戻りますが、のどの入口にずらりと並んでいるリンパ組織(扁桃組織)は鼻や口から体内へ侵入した細菌やウィルスなどを排除する免疫の働きがあり、特に子どもさんでは成人に比べてこれらの扁桃組織の免疫防御機能としての役割は重要と考えられています。ですからそれらの大きさにも年齢的変化がみられます。たとえば、扁桃(口蓋扁桃)は、2〜3才ごろから大きくなり、7〜8才(小学校低学年)で最大になり、その後は小さくなってゆきます。ただ多少の個人差はあります。後ほど扁桃肥大に関してのべますが、扁桃肥大は年齢的(生理的)変化も考慮する必要があります。

 来月以降は扁桃の病気とアデノイドの病気について具体的にお話してゆきます。

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