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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2009年10月 補聴器について Part2

補聴器」についてみなさんがいだいている印象はどのようなものでしょうか。正直に言ってあまり良くないものではないですか?

○年寄りじみている。
○かっこう良くない。
○値段が張る。
○雑音がうるさくて役に立たない。
○突然ピーピー鳴りだす。
○電池を交換するのがわずらわしい。

等々。たしかにこれらも補聴器の一面ではあります。しかし、家電製品の進歩を見ても想像がつくように、補聴器も、たとえば10年前と比較しますと驚くほど進歩しています。

  先月のこのコラムに書いたように、御自分の聴力に不安を感じた場合に、もし補聴器が必要となった場合の流れをお話しします。聞こえづらい、よくききかえす等で不安を感じたら、

①耳鼻咽喉科を受診する。
 聴力検査を行ない、難聴の有無、難聴の程度の診断を受けます。治療で難聴が改善されることもあります。補聴器が必要と診断されることもあります。これらの検査、診断は耳鼻咽喉科医でないとできません。

②補聴器店を紹介してもらう。
 もしも補聴器が必要となった場合は、補聴器店を紹介してもらいます。聴力検査の結果、難聴の原因、耳の状態(鼓膜の穴の有無、耳だれの有無、外耳道の形状等)などの情報を補聴器店へ提供して、その人に合った補聴器を選びやすいようにします。

③補聴器店で補聴器を選びます。
 補聴器店へ行くときは、耳鼻咽喉科からの紹介状を持ち、御自身は、補聴器を使う目的と大体の予算を言えるようにしておいて下さい。
補聴器を使う目的はもちろん、よく聞こえるようになることです。しかし、もう少し具体的に、どこで、どんな場面で聞こえるようになりたいか、どういうことが困っているかを補聴器店の人に説明していただけると、その目的に合った機種を選んで勧めてもらえます。
たとえば、

○家で家族との会話がよく聞こえるようになりたい。(比較的静かなところです。)
○買い物に行ったときによく聞こえたい。(少し雑音が加わります。)
○道路を歩いていて、自動車が近づいてくるのがわかるようになりたい。(やや雑音がある場所で、音が近づいてくる方向がわかりたい。)
○お芝居を楽しみたい。(上演中は静かですが、幕間の休憩時間には雑音が多いです。)
○会議中、人の話をよく聞きたい。(少し雑音があります。)
等々。

 目的はひとりひとり異なるはずです。一番使いたい場面はどこで、次にはどこで使いたいのかをはっきりと言えると、補聴器選びがスムーズになります。
次に、大体の予算を決め、そのことをお店の人に伝えた方が良いと思います。

 補聴器1台のお値段のめやすは、メーカーにより、性能により本当にピンからキリまであります。おおざっぱな数字は次のようなものです。

低価格帯  4万〜10万円
中価格帯  11万〜20万円
高価格帯  21万〜30万円
超高価格帯  31万円以上

 これは1台のお値段ですので、両耳に装用する場合は2倍の数字になります。(両耳装用の場合は若干の割引がある場合もあります。)かなり値の張るものですが、ただ、体の一部の機能を補うものですので、仕方ないかなと感じる部分もあります。お店へ行く前に、あまり無理しないでよい予算を考えておいて下さい。また、お店へ出かける時はできるだけ家族の人にいっしょに行ってもらって下さい。もともと難聴があるとコミュニケーションをとりづらい場合が多いです。器機や値段の説明も家族の人といっしょに聞いて、情報を共有した方が誤解を少なくできます。もし迷うことがありましたら、急ぐ必要のないものですので時間をおいて、よく考えて、納得してから決めて下さい。

 補聴器店によっては、おためし期間をもうけている店もあります。たとえば耳型をとってわざわざつくってもらった耳あな型の補聴器でも1か月以内であれば返品可能というところもあります。あるいは、1か月間試用して、納得してからお支払いというところもあります。いずれにしろ、無料のおためし期間は大変ありがたいものです。補聴器の雑音やピーピー音(ハウリングと呼ばれます)は実際に使わないとよくわからないものです。

④充分納得したら購入を決める。
 お店によってはローン払いをもうけているところもあります。お店に御相談になって下さい。

⑤補聴器店でのアフターケア:補聴器の調整と点検
 補聴器ではこのアフターケアが大変重要です。というのも購入した時点の補聴器の状態で全てオッケーという幸運な人はむしろ少ないのです。雑音が気になったり、音がひびいて聞こえたり、また、補聴器が耳のあなに当たって痛かったりと何かしら問題をもっている人がほとんどです。どうか遠慮せずに補聴器店へどんどん訴えて下さい。調整をくり返してもらって、だんだんと自分のものになってゆきます。中には、調整をくり返しても解決できない問題もありますが、少しでも理想の状態に近づけて下さい。この調整をしないと「タンスのこやし」になってしまいます。残念ながらあきらめて使わなくなってしまう方は多いのです。不具合を訴えやすいお店が良いお店です。場合によっては、他の店で購入した補聴器のアフターケアをやってくれるお店もあります。
補聴器は電器製品ですから、点検や掃除も必要です。自動車のように点検をきちんとやる方が長もちします。電器製品ですので、実は寿命もあります。補聴器店の人は5〜6年といいますが、長くもっている人では10年位使っている人もいます。

⑥耳鼻咽喉科での定期的な点検
 最初に受診した耳鼻咽喉科で、耳の状態ときこえの状態を時々みてもらって下さい。耳あかがたまると聞こえも悪くなりますし、補聴器が外耳道にあたって赤くはれている人もいます。幸いに補聴器をうまく使えるようになったとしても、少なくとも一年に1度は顔をみせて下さい。

 補聴器購入の流れはだいたいこういうかんじです。めがね購入でももちろんアフターケアは必要ですが、調整できる部分が多いため補聴器の方が、アフターケアのウエイトが大きい気がします。
 御自身の聞こえ方に不安をもたれた方は、ぜひ一度耳鼻咽喉科できちんと聴力検査を受けて下さい。
 人間ドッグや健康診断の際に簡単な聴力検査は受けていると思いますが、聞こえ方に不安のある方は、耳鼻咽喉科で詳しい聴力検査を一度受けてみて下さい。きっと新しい発見があります。

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