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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2010年4月 口の中にへんなできものを見つけた場合は?

 4月に入りますとスギ花粉症の方は症状のピークが過ぎて、徐々に楽にすごせる日がふえてきます。しかしヒノキ花粉症の方はまだ症状が続いていると思います。よく言われるのは、スギ花粉症の症状は桜が咲くころまでで、桜が散っても続いているのはヒノキ花粉症…。ヒノキ花粉症の症状はだいたい5月の連休まで(5月上旬まで)です。皆様はいかがおすごしでしょうか。

今月は、外来診療時によく尋ねられる「口の中のできもの」についてです。「口の中のできもの」とひと言で言っても、もちろん数としては少ないですが、皆さんが心配している「悪いできもの」のこともあります。しかし、正常の構造物のことも意外に多いです。今回は、この、正常の構造物なのだけれど、よく「悪いできもの」と思われてしまうもののお話です。

「口の中」や「のど」に「へんなできものができました。悪いものではないでしょうか?」とたずねてこられるかたが時々おられます。そのできものを拝見して、治療が必要なもの(良性の場合と悪性の場合があります)の他に、もともと、だれでももっていて、病気ではないのでそのままにしておいてよいもの というものもあります。特に尋ねられて、多いのは、次の2つです。

(1)舌の有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)
(2)咽頭後壁のリンパ濾胞(ろほう)

(1)舌の有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)
 舌の奥の方、舌を「べー」とつき出して奥をのぞくとやっと見えるところに、よく見ると横一列に、直径2mmほどのまるい、乳頭(つまりでっぱり)が見えます。舌のつけねにあって通常はのどの奥に隠れているために、気づかれることはありません。のどが痛かったり、のどに違和感がある場合、口の中、舌の奥を注意してのぞいた時に、たまたま見つけられることが多く、形が形なので、「悪いできものではないだろうか。」と悩む人も少なくありません。

 有郭乳頭は直径2mmほどで、実は14〜16個も舌根部に一列に並んでいます。正常の構造物ですので、特に治療が必要ということはありません。
しかし、ためしに舌を鏡でよく見てみると、表、裏、縁といろいろな構造物があり、どれが正常でどれが異常か判断しかねると思います。また、たまたま口の内を見たときに今まで気付かなかったものを見つけ、急に不安になることもあるでしょう。そのような場合は、ぜひお近くの耳鼻咽喉科で御相談下さい。万が一ということもあるので、口からのどの奥まで、見慣れている耳鼻咽喉科でみてもらい、早く安心して下さい。
ここで、やや細かいお話になりますが、舌の乳頭というのはそもそも何のためにあるのだろう? と疑問に思う方もおられることでしょう。実は乳頭の中にある味蕾で味を感じているのです。舌には次のように4種の乳頭があります。

1)糸状乳頭  舌全体に分布。
2)茸状乳頭  舌の前2/3に散在。
3)葉状乳頭  舌の後方の舌根部に存在。
4)有郭乳頭  舌根部に逆V字型に存在。

つまり、舌表面のザラザラ、デコボコが舌をおおう乳頭で、そこに味を感じる味蕾が存在しているということです。味蕾はとくに茸状乳頭、葉状乳頭、有郭乳頭に多いといわれています。

(2)咽頭後壁のリンパ濾胞(ろほう)
 これも「のどにできものができました」と御相談にこられることの多いものです。2〜3mmの小隆起が咽頭後壁、つまり口をあけると口蓋垂(のどちんこ)の後方の壁に不規則に数個みられます。これも正常の構造物でリンパ組織のひとつです。咽頭にはワルダイエル Waldeyer咽頭輪と総称されるリンパ組織があります。具体的には口蓋扁桃(いわゆる扁桃せん。右左に1つずつあります)、咽頭扁桃(アデノイド。上咽頭にあり、口の中からはみえません)、舌扁桃(舌根部にあり、やはり口の中からはみえません)、耳管扁桃(上咽頭のアデノイドの両側にあります)、咽頭後壁に多数存在するリンパ濾胞(ろほう)  などです。これらのうち、咽頭後壁のリンパ濾胞(ろほう)が「できもの」ではないかと疑われることが時にあります。これも、のどを見慣れている耳鼻咽喉科医に御相談下さい。
(1)や(2)の他にも、口の中にはふしぎな形のできものが見つかることがあります。歯に関係するものであったり、またのう胞といって小さな袋ができてしまうこともあります。いずれも耳鼻咽喉科医がお答えできますので、ひとりで悩まずに御相談下さい。

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