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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2012年10月 舌下減感作療法について

 月がとてもきれいに見える季節になりました。空気が澄んでいるからでしょうか
皆様お元気におすごしのことと存じます。

 今回はアレルギー性鼻炎の治療法の1つ「舌下減感作療法」について少し述べます。ここで復習をいたします。アレルギー性鼻炎の治療法としては大きく分けて次の4つがあります。

(1)抗原の除去と回避

治療の第一歩で患者さんのみ行うことが可能です。室内ダニ、花粉、ペット動物などの抗原となるものを避けます。

 

(2)薬物療法

薬による治療です。内服薬、点鼻薬、漢方薬等いろいろあります。内服薬も作用機序によりさらに分類されます。

 

(3)手術療法

手術療法の第一の目的は、鼻閉の改善です。手術療法にも、電気凝固法、レーザー手術法、アルゴンプラズマ手術法等いろいろあります。

 

(4)抗原特異的減感作療法(特異的免疫療法)

難しい漢字がズラッと並びました。「特異的」というのは特定のという意味で、たとえば、ダニとかスギとかの特定の抗原をさします。
「減感作療法」とは、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に入れることで、アレルギー症状を出にくくする方法です。
「減感作療法」がうまくゆけば抗ヒスタミン剤などの薬をかなり減らすことができます。今まで、「アレルギー性鼻炎は体質だから」といわれてあきらめてきた人も多いと思うのですが、「減感作療法」はアレルギー性鼻炎の根本的な治療法と言えます。
この「減感作療法」にも2つの方法があります。ひとつは従来おこなわれてきた皮下注射によるもので、もうひとつは舌の下にアレルゲンエキスをおくものです。

 

@皮下注射による特異的減感作療法
アレルゲンエキス(ハウスダストやスギ)をごくうすい濃度から徐々に濃度や量を増やしながら注射をして、過敏性を軽減していく治療法です。一般に週に1〜2回の割合で維持量に達しましたら月に1回注射をします。なかなか根気のいる治療法です。また。急に濃度を上げるとアナフィラキシーショックになる恐れがあるなど、副作用に注意しないといけません。健康保険の適用があります。

 

A舌下減感作療法
一方、最近は「舌下減感作療法」が注目されています。これは錠剤のアレルゲンエキスを舌下(舌の裏)にしばらくおいておき、最終的には飲みこんでしまいます。つまり注射はしません。ですから自宅でもできる治療法になります。医療機関へ行く回数もぐっと減少しますし、注射の痛みもありません。
良いことずくめの治療法なのですが、ただ1つ、現在の段階では日本では発売されていません。治験が終わった(スギ)か、治験が始まったばかり(ダニ、ハウスダスト)というところなので、あと2〜3年お待ち下さい。

「舌下減感作療法」は薬物療法と似た錠剤を使いますが、薬物療法とは機序が全く異なります。私ども医療機関でも、実は「舌下減感作療法」に大変注目しています。今しばらく発売までお待ち下さい。

 

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