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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2023年12月 匂いについてと2024年スギ・ヒノキ花粉情報(第1報)

 いよいよ師走です。ことしは夏が長く、とても暑かったのですが、暦で師走となると、それなりの気温、湿度になるというのが不思議な気がします。
ここ数日は東京でもとても冷え、猛暑だから暖冬と単純にはゆかないことを思い知らされました。皆様いかがおすごしでしょうか。

 今回は匂いについておもしろい本のご紹介です。それは、ビル・S・ハンソンというスウェーデン出身の神経行動学者の書いた「匂いが命を決める」という本です。何とも刺激的な題の本です。でも本を読みすすめてゆくとこれがけっして大げさなことばづかいではないことがわかります。
 すべての生物は背骨の有無にかかわらず、線虫のような小さな虫から、魚類、鳥類〜ヒトに至るまでみんな嗅覚をもっています。ヒトはとても視覚的な動物なので他の感覚、たとえば嗅覚を忘れやすいですが、この目に見えない感覚は意外と重要です。

この本を読もうと思ったきっかけは、各章のタイトルがとてもおもしろそうだったからです。
たとえば
 第2章・・・人の嗅覚・人の匂い
 第3章・・・犬はすぐれた嗅覚をもっている
 第4章・・・鳥は匂いがわかるのか
 第5章・・・魚と嗅覚
 第6章・・・ネズミは嗅覚がすべて
 第7章・・・鼻が利く蛾
 第8章・・・小さいハエさえも
 第9章・・・血の臭いを嗅ぐ蚊
 第10章・・・巨木キラー・キクイムシ
 第11章・・・クリスマスアカガニ

ここまでは動く動物でしたので嗅覚が進化したんだろうと思って読んでいましたが、「第12章・・・植物は匂いがわかるのか」には驚きました。
答えはイエスです。1980年代から次々に論文が発表されています。もちろん植物には鼻がありません。ちょっと長い、むずかしい文ですが引用します。
「植物が空気に運ばれるある種の化学信号、現在では揮発性有機化合物(VOC's)とよばれるものを使って、同種の個体の生存戦略を誘発したり、近くの植物やその他の生物を起点とする連鎖反応を引き起こしたりしていることは議論の余地がない事実となっている。」植物同士が連絡をとりあっているなんてワクワクしてしまいます。それに遣われているのがVOC’sです。植物ってただ立っている(生えている)だけだと思っていましたが、どうもそうではないようです。忙しく何かをしているようです。

このように嗅覚は様々な生物がもっていてそれぞれが最大限に利用しています。何に利用しているかというと生存と繁殖です。人間は高度に文明化されているので嗅覚を生存や繁殖に使うと言うことは少なくなっていますが、他の生物たちは必死になって嗅覚を利用して種を残そうとしています。この世界には知らないことがまだまだたくさんあるということを思い知らされました。

 今回は毎年発表される2024年スギ・ヒノキ花粉情報第1報ものせます。
NPO法人花粉情報協会によりますと、2024年のスギ花粉の飛散開始は、例年並みかやや早くなる見込みで、暖冬予想のため西日本の一部では1月下旬になる可能性もあります。
スギ、およびヒノキ花粉の総飛散数の予測は東北北部を除き全国的に2023年より少なくなる見込みです。また、過去10年の平均値との比較でも東日本の東海から北の地域では平均並みと予想されますが、西日本の一部では50%以下になる見込みです。しかし、2024年は西日本の一部を除き2,000個から5,000個以上が多く、10,000個以上の地点もあり、決して少ないとは言えません。

たとえば東京都心部(千代田区)の場合
 過去10年間平均値   5,113個
 2023年飛散実測値   5,891個
 2024年飛散予測値   5,244個
となります。多めだった2023年飛散実測値には及ばないけれど過去10年間平均値というのは最近なかなかの数字となっていますので皆様充分に準備をととのえましょう。平均並みと聞いても安心しない方がよいと思います。

それでは皆様良いお年をお迎えくださいませ。

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