やべ耳鼻咽喉科トップイメージです

Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

当月のTea-break > tea-breakバックナンバー

○ 2007年12月 子どもがたびたび急性中耳炎になりますがどうしてでしょうか?

 本年8月の当コラムでお話いたしましたが、急性中耳炎は上咽頭(鼻の奥)にある細菌やウイルスが、上咽頭と中耳を結んでいる「耳管」を通って中耳腔へ行き、中耳で炎症をおこすものです。小さい子どもさんの中にはなぜか急性中耳炎をたびたびくり返す子どもさんがおられます。親御さんにしてみれば、やっと治ったかなと思ったらまた中耳炎になってしまい、がっかりするということになります。このような場合の原因として、次の3つが考えられます。

1.患者さん個人の原因
2.急性中耳炎をひきおこす細菌側の原因
3.患者さんがいる、環境の原因

1.患者さん側の原因

1) 一般的に抗体産生能力が成人に比べて、3歳までは特に低い。このため、3歳までは、外界から侵入した細菌やウイルスに対して免疫グロブリンを作る力が弱く、細菌やウイルスの病気にかかりやすいといえます。また個人差もあります。
   
2) 耳管の解剖学的特徴として、子どもの耳管は大人の耳管より長さが短く、角度が水平に近くなっています。このため子どもは上咽頭の細菌やウイルスが大人より耳管を通って中耳腔に感染しやすくなります。

2.急性中耳炎をひきおこす細菌側の要因

最近よく言われるのは、抗生物質の効きづらい、または効かない細菌が原因の急性中耳炎が増えているということです。急性中耳炎をひきおこす細菌は、肺炎球菌とインフルエンザ菌が多いのですが、これらの細菌の中で、抗生物質の効きづらい「耐性菌」が増えており、抗菌薬を投与しても治癒しづらく、抗菌薬の投与を中止すると急性中耳炎が再発しやすいと言われています。

3.子どもさんがいる環境の原因

環境的な原因として、低年齢から集団保育を受ける乳幼児が増えていることがあげられます。保育園や幼稚園に通園している乳幼児では、「細菌側の原因」であげた耐性菌が慢性的、潜在的に広まっており、いったん急性中耳炎になると薬剤耐性があるため、治癒することがむずかしくなります。また集団保育に通っていると、抗生剤の内服が不完全になりやすくなります。

 いずれの原因も仕方ないことが多いので対策はなかなかとれないのですが、病院でもらった薬はきちんと内服する、耳の痛みがとれたからといって途中で通院を止めない、できれば完全に治ってから通園を再開する等は、やろうと思えばできることなので、親御さんも努力して下さい。

▲ページトップへ

 

やべ耳鼻咽喉科コピーライト
やべ耳鼻咽喉科トップページへ