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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2008年5月 鼻血がよくでます。病気でしょうか?

 鼻の中(鼻腔)の粘膜は細い血管が豊富に分布しているので、炎症や外傷などのために血管壁に傷がつくと出血しやすいのです。

鼻出血をおこしやすいのは①幼小児と②中高齢といわれています。
鼻出血の原因は大きく2つに分けられます。

1.突発性鼻出血
 
原因となる病気が特にない場合です。

・鼻をほじる、鼻をこする、鼻を強くかむ。
・洗顔などの前屈による頭部のうっ血。
・温度の変動。
・運動時の血圧上昇。
・感情激動(興奮)。

など機械的・物理的刺激によるものです。
鼻出血のほとんど(8割)を占めます。鼻出血を見ると、まずこちらを考えます。

2.症候性鼻出血
 
鼻や副鼻腔に原因疾患が存在する時や、全身性に出血傾向をひきおこす病気がある場合など、何らかの病気がある場合です。

病気は(1)局所的な原因と(2)全身的な原因に分けられます。

  1. 局所的な原因
    1)炎症性疾患、急性鼻炎など
    2)腫瘍性疾患、悪性腫瘍、鼻副鼻腔の血管腫など
    3)外傷、血管異常など
  2. 全身的な原因
    1)血液疾患  出血性素因のある場合。たとえば白血病、紫斑病、再生不良性貧血、血友病など。
    2)薬剤性   アスピリン、ワーファリン等内服による凝固能低下によるもの。
    3)その他  肝疾患による凝固系の異常、高血圧等。

 鼻出血はほとんどの場合(8割)、突発性鼻出血といわれており、まずこちらを疑います。深刻な病気はごく少数です。

 出血部位はキーゼルバッハ部位(Kiesselbach部位)の損傷が最も多いのです。キーゼルバッハ部位というのは鼻中隔(右と左の鼻の穴の間の壁)の前下部です。ここは血管が豊富で、かつ浅い部位にあるため鼻出血の好発部位となっています。(右図)
 鼻出血に遭遇した場合、まずためしてみていただきたいことは、鼻を親指と人差し指でつまむことです。数分間つまんでいれば、キーゼルバッハ部位からの出血であれば止まります。指で鼻をつまむと、キーゼルバッハ部位の圧迫止血になるのです。すぐに簡単にできるので、まずやってみて下さい。それでも止まらない場合は、キーゼルバッハ部位以外からの出血の可能性もあるため、耳鼻咽喉科専門医を受診して下さい。また、いったん止血しても、たびたび再出血する場合は症候性の鼻出血の可能性があるため、やはり耳鼻咽喉科専門医の受診をお勧めします。

 鼻出血の予防というのは、まず、鼻の中をいじらないことです。鼻の中は入口から1cmほどで皮膚から粘膜にかわります。粘膜は皮膚よりもずっとデリケートで傷つきやすいので、日に何度もいじっていると、だんだんただれてきます。小さい傷がついてただれると痂皮(ハナクソのようなものですが、皮膚のかさぶたに相当します)がつきますが、これをとってしまうと傷がなかなか治りません。傷がだんだん大きく深くなると、ついには出血してきてしまいます。痛くなることもあります。特に小さい子どもさんで、ハナクソほじりが大好きな場合要注意です。手の指(特に人差し指)の爪は短く切っておいて下さい。

 アレルギー性鼻炎のために、鼻がムズムズし、つい鼻をゴシゴシいじってしまう場合も鼻出血をおこしやすくなります。
いずれにしろ、鼻出血がなかなか止まらない場合、たびたび鼻出血がみられる場合は一度、耳鼻咽喉科医を受診して下さい。

 

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