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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2013年10月 鼻汁は諸悪の根源!!

 すがすがしい秋です。でも気温が下がると、また子どもさんの鼻汁がチラホラと見られるようになりました。実は鼻汁は諸悪の根源なんですよ。特に粘稠性の(ねばりけのある)鼻汁は、ズルズルとじゃまなだけではありません。鼻のうしろ(上咽頭)から耳管を通って中耳に行けば急性中耳炎になることもあるし、上咽頭からのどに落ちて痰になれば、咳の原因になることもあります。鼻が鼻汁のためにつまって寝てしまうと、口呼吸になり、翌朝のどがヒリヒリと痛くなってしまうこともあります。

 急性中耳炎になってしまったとか、咳が止まらないとか、のどがヒリヒリして痛いとか、とかとか。いずれの場合も耳鼻咽喉科では、鼻の治療もいっしょにおこないます。鼻がスカッと通ると、比較的早く急性中耳炎も、咳も、もちろんのどの痛みもよくなります。

例えば急性中耳炎について。
皆さん、耳(外耳道)によごれた水が入ると急性中耳炎になると思っていませんか?

鼓膜に穴があいている慢性中耳炎では、よごれた水が鼓膜の穴から中耳に入って、耳だれが出てくることもあります。しかし、鼓膜が健康で、鼓膜に穴がないときは、鼓膜からよごれた水は入れません。よごれた水が耳に入って外耳炎になることはあるかもしれませんが、中耳炎にはなりません。

 では、どこから原因菌は入ってくるのでしょうか。実は、鼻の奥、上咽頭の耳管(上咽頭と中耳をつなぐ細いくだ)の、鼻側の入口を通って、耳管経由で中耳へ入ってゆきます。鼻汁がたくさん上咽頭にたまっていると、どうしても耳管を通って中耳に細菌が入ってしまいます。鼻汁が鼻孔から出ていなくても油断できません。前からみて鼻汁が出ていなくても、上咽頭にきたない鼻汁がたまっていることもあります。この、上咽頭の細菌検査の結果と、急性中耳炎の中耳貯留液の細菌検査はよく似ています。ですから、黄色や緑色の鼻汁がズルズルと出ている時は要注意です。やはり鼓膜も外から見えませんので、中耳炎になりそうか、大丈夫かはふつうわかりません。特に1度急性中耳炎になったことのあるお子さんは、2度、3度と急性中耳炎になる可能性があります。お母様が、十分注意してあげて、鼻汁をそのままにしないで下さい。

次に咳。
もちろん咳全てではありません。喘息や肺炎など下気道(気管、気管支、肺)が原因の場合は、内科的治療が必要です。しかし、特にカゼをひいた後で出る咳は鼻が関係している事が多いです。鼻汁は、前から出てくる「前鼻漏」と、うしろへ流れ落ちる「後鼻漏」に分かれます。前鼻漏は誰でも目で見てわかります。でも後鼻漏はわかりずらいものです。

 後鼻漏は、のどに落ちると「痰」と呼ばれます。痰がからんで咳が出ることが多いのです。しかし痰は、後鼻漏が落ちるだけでなく、気管や肺から出てくることももちろんあります。ただ、気管や肺から出てくる痰は、聴診してもらうと胸で何らかの音がすることが多いのですが、後鼻漏がのどに落ちた場合は、聴診しても肺の音はきれいなことがことが多いです。(喉頭からのゴロゴロという音はひびいてきて聞こえますが)

 後鼻漏は、皆さん意外と多いのですが、よほど量が多い場合以外は、自覚することがないのでこれも要注意です。

 さて、最後に鼻がつまって翌朝目ざめると、のどがヒリヒリしてしまったという経験は誰でももっていると思います。カゼをひいた時でなくても、子どもさんの例ではありませんが、飲酒した翌朝、やはりのどがかわく、のどがヒリヒリすることはよくあります。飲酒で鼻の粘膜が腫脹し、空気のとおり道が狭くなってしまうため、口をあけて、口呼吸で寝てしまうのです。飲酒した夜はできればマスクを使って寝るとよいでしょう。カゼが原因で鼻がつまった時も同様です。

たくさんの鼻汁で鼻がつまった時、翌朝は同じようにのどがヒリヒリします。おそらく、同じように寝ている最中に、口をあけて、口呼吸で寝ているのです。飲酒の時と同じように、マスクをかけて寝ましょう。朝までにとってはずしてしまってもかまいません。

 

 このように、鼻汁はあちこちに影響を与えます。鼻汁はこまめにそっとかんで、なるべく鼻はきれいにしましょう。鼻汁が多いお子さんも耳鼻咽喉科で、鼻汁を吸引してもらうと、一時的ですが、だいぶ鼻はスッキリしてきます。たかが鼻汁、されど鼻汁です。鼻汁をなるべく減らし、スッキリとした毎日をお送り下さい。

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