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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2015年2月 2015年スギ花粉対策とこどもさんのアレルギー性鼻炎について

 先日「あけまして…」とごあいさつしたかと思うともう2月です。
1月は「往ぬ、いぬ」2月は「逃げる、にげる」3月は「去る、さる」のことばどおりのあわただしさです。皆様いかがおすごしでしょうか。
 いよいよ2月中旬ごろからスギ花粉が飛びはじめます。これは残念ながら確実なことです。スギ花粉症の方はぜひ早めの準備をお願いします。スギ花粉症の対策は2012年2月や2013年2月と大体同じです。

ここでスギ花粉症の治療について、以前にも引用しましたが2012年2月掲載のコラムを引用いたします。

■スギ花粉症の治療

アレルギー性鼻炎の治療として、次の4点があげられます。

(1)セルフケア(原因抗原であるスギ花粉をよせつけない)
(2)薬物療法
(3)手術療法
(4)アレルゲン免疫療法

このうち、だれでも比較的手軽に実行できることとして、(1)と(2)についてまずお話しいたします。

(1)セルフケア(スギ花粉の回避)

外出時
①花粉情報に注意する。
②飛散の多い時の外出を控える。外出時にマスク、メガネを使う。
③表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避ける。

帰宅時
④帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。

在宅時
⑤飛散の多い時は窓、戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、換気は短時間にとどめる。
⑥飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは避ける。
⑦掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。

(鼻アレルギー診療ガイドライン2013)
これらは治療の第一歩で患者さんのみができることです。

(2)薬物治療

薬物を使う治療で、まず皆さんが思いうかべる治療法だと思います。
最初に「初期療法」と呼ばれる薬の使い方をおすすめします。
花粉症の初期療法は花粉が飛びはじめる前から花粉症の薬(内服薬や点鼻薬)を使いはじめるという治療法です。たとえば、東京では2月上旬から始めることが望まれます。症状が出ていないのに薬を使うことに抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、次のような効果(いいこと)があります。

①花粉症の症状が始まるのが遅くなる。
②花粉症の症状が軽くなる。
③薬の量や使用回数を減らすことができる。

花粉症などのアレルギー性疾患は症状が悪化する(重くなる)と薬が効きづらくなります。しかし、症状が軽いうちに薬を使いはじめると、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすく、その結果、そのシーズンの症状を軽くすることができます。
ここで花粉症の薬をのむときの注意です。
①花粉が飛ぶ量は雨や雪などの自然条件で減少する時期もありますが、薬の使用は途中で中断せずに、花粉飛散が少なくなる時期(スギ→4月後半、ヒノキ→5月中旬)まで継続することが望ましい。
②薬によっては眠けをもよおすことがあるため、車の運転、精密な仕事、高い所での作業などには注意して下さい。
③アルコールといっしょに内服しない。
④眠気やだるさが強かったり、他にからだの異常を感じたときは、主治医に知らせて下さい。

(3)手術療法

くしゃみや鼻みずという症状は比較的、薬による治療が有効ですが、鼻づまりにはききづらいといわれています。手術療法は鼻づまりの強い人に、鼻閉の改善を目的におこなうことが多いです。手術の方法には次にあげるようなものがあります。

○アルゴンプラスマ手術
○電気凝固法
○レーザー手術
○その他

(4)アレルゲン免疫療法(これだけは以前と異なります)

アレルゲン免疫療法はこのコラムでも何度かとりあげましたが、

①皮下注射による方法
②舌下免疫療法

の2つがあり、②スギの舌下免疫療法が平成26年10月から新たにできるようになりました。
実際問題として、注射をうけるために毎週医療機関を受診するということは大変な手間と時間がかかるために、だれでもできるという方法ではありませんでした。その点、舌下免疫療法は、今のところ処方は2週間分だけですが(本年10月までは)、2週間に一度の受診ですみます。痛い注射も受けずに済みます。大変おすすめなのですが、1点だけ注意してください。それは始める時期です。花粉が飛び始めてからはできませんので、今、現在は無理です。
御希望の方は、申し訳ないのですが、来年の花粉症シーズンのために9月ごろ〜に来院してください。来期もお正月〜ということはできません。

花粉症シーズン中は、日常生活での生活習慣も大切です。花粉症の症状を悪化させる花粉以外の要因には次のようなものがあります。

①ストレスの多い生活。
②不規則な生活リズム。睡眠不足。
③高たんぱく質や高脂肪の食生活。
④排ガス、大気汚染→排気ガスなどで汚染された大気中の微粒子が免疫反応をおこす抗体を産生しやすくし、花粉症の発症を促進する。
⑤アルコール→鼻閉悪化

以上2012年2月コラムより

 「小さい子どもの時から鼻水がよく出ているのですが、何歳ごろからアレルギー性鼻炎になるのでしょうか?」
 これはかなり早い段階から、おそらく皆様がお考えになる以前からアレルギー性鼻炎になっている可能性があります。通年性アレルギー性鼻炎(抗原がダニ、ハウスダストなど、一年中私たちの身近かにあるもの)は早ければ0〜1歳で始まっています!

 スギ花粉症は、季節性アレルギー性鼻炎と呼ばれるものの中の、春におこるアレルギー性鼻炎です。早ければ2回の花粉シーズンを経験した1歳台でスギ特異抗体が陽性となり(この時は、血液検査でスギ特異抗体が陽性になるだけで、症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり等)はまだ出ていません)3回目の花粉シーズンとなる2歳で発症するというお子さんもいらっしゃいます。つまり、通年性アレルギー性鼻炎は最短で0〜1歳で、スギ花粉症は2歳児で発症する可能性があります。

 このように小さい頃にアレルギー性鼻炎があると、将来喘息になりやすい、あるいは子どものころの喘息がそのまま続いて、おとなになっても喘息があるということもあるため、経過を注意して観察しなくてはなりません。

ところで、子どもさんのアレルギー性鼻炎の症状は主に次のようになります。

①水ばながつづく
②くしゃみ
③鼻づまり
④目や鼻をこする(目や鼻がかゆく、癖になっている。本人も知らないうちにいつのまにかこすっている)
D鼻血をくり返す(これは鼻をよくこするのが原因の方が多いです)

 ①②③は成人と同じ症状です。
 ④やDは成人は一応がまんするため、比較的少ない症状です。おうちで子どもさんがこのような症状を示しましたら、なるべく早く耳鼻咽喉科を受診して下さい。注射器で採血しなくても指をほんの少し切って出てきた血液で検査することもできます。

 恐らく小さい子どもさん自身が症状を訴えることはありませんので、周囲の大人が観察して、変だなと思ったら耳鼻咽喉科を受診して下さい。

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