Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話
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○ 2017年4月 2017年 ドライノーズと鼻の正しいかみ方
あちらこちらもすっかり春めいてまいりました。花が咲いて、若葉が芽吹いて、小鳥や昆虫たちの姿も目立ちます。皆様いかがおすごしでしょうか。スギ花粉症の方々はまだ4月上旬ですと症状が辛い時期ですね。花粉症で花をかむ回数がふえますと人によっては鼻の周りの皮膚が赤くただれてしまうこともあります。鼻の周りの皮膚が赤いということは鼻内の粘膜も赤くなっていることが推測されます。最近時々「ドライノーズ」という言葉をお聞きになりませんか?文字通り「乾いた鼻」です。
でもたぶん、ドライノーズと言う時は、今まで以上に鼻が強く乾いた感じがして、今まで以上にハナクソが出て、今まで以上に鼻にヒリヒリする痛みを感じ、今まで以上に鼻血が出たりかさぶたができるのだと思います。一般的にドライノーズの原因は鼻の乾燥といわれていわれています。
例えば・・・
- 暖房のつけっぱなしで加湿していない部屋にずっといる
- 点鼻薬をよく使う
- 水分をあまり摂らない
などなどです。
しかし耳鼻咽喉科としてはまず第一に、
「鼻はかむだけにして、鼻の中はいじらないこと!」
を訴えたいと思います。
<ポイント>
- 鼻はなるべくそーっとかむ。
- 鼻をかんだ後にもっときれいにしようとして、ティッシュペーパーで鼻の中をグリグリしない。
- 指を鼻の中に入れてハナクソをなるべくとらない。
- 綿棒も鼻の中に入れない。
ちょっと見るとドライノーズと関係なさそうな事ばかりと感じるかもしれません。でも実はどれもドライノーズと深い関係があります。
以前、「正しい鼻のかみ方(2013年4月掲載コラム)」でも言及しました。
(以下2013年4月掲載コラムより)
さて、外来で患者さんとお話をしていて感じることは、鼻をもっとじょうずにかんでほしいなということです。ちょうど7年前、2006年4月のこのコラムに「正しい鼻のかみ方」というテーマで、鼻のかみ方を少し考えました。
そこでは、正しい鼻のかみ方とは、
- 片方ずつかむ。反対側の鼻を押さえてかみます。両方いっしょにかんではいけません。
- 鼻をかむ前に口から息を吸う。鼻をしっかり押し出すために、空気を吸って準備をします。
- ゆっくり、少しずつかむ。一度にかまない。
- 強くかみすぎない。少しずつやさしくかんで下さい。
の4点があげられています。
しかし、ここでもう一つ追加したいと思います。
5.鼻をかんだあと、けっしてティシュペーパーで鼻内をグリグリしない。
(鼻はかむだけにする)
ティシュペーパーで力いっぱいグリグリすると目にみえないような小さい傷が粘膜にたくさんつきます。するとそこにかさぶた(=ハナクソ)がつきます。ハナクソ(かさぶた)を指でとると一瞬、鼻の通りは良くなりますが、そのうちさらに大きなハナクソ(かさぶた)がついてしまいます。ハナクソ(かさぶた)をさらにとるとさらにさらに大きなハナクソがつくだけでなく、傷が大きくなって出血してきます。
実は、鼻中隔(左右の鼻の間の隔壁)の前方はKiesselbach部位という鼻出血の好発部位でもあります。運悪くKiesselbach部位を傷つけると大量の鼻出血が……。ということもありえます。
鼻をティシュペーパーでグリグリすると、鼻出血の他に、小さい傷から細菌が入りこみ、感染することがあります。鼻のあたま(鼻の先端部分の皮膚)が赤くはれて、とっても痛いのがこれにあたります。もともと鼻の入口はあまりきれいな所ではなく、細菌はたくさんいます。粘膜が健康であれば、細菌は入りこめませんが、粘膜に小さい傷があれば、そこから細菌は侵入してしまいます。
ティシュペーパーで鼻内をグリグリやる人は、きっと、とってもきれいずきの人だと思うのですが、鼻の中はかむだけで鼻汁は出ていってくれますからそのままにしておいて下さい。特に花粉症で鼻をかむ回数がふだんよりずっとふえると鼻出血もふえるような気がします。 (2013年4月コラム)
このまさに、5.の部分です。
もしも最近急に鼻が痛くなったとか、ハナクソがふえたとか、鼻血が出やすくなった場合、まず最初に鼻の中をさわらないで下さい。もしかすると何気なく、気づかないうちに鼻の穴に何か入れているかもしれません。「何かをやる」よりは「何かをやらない」方が楽だと思いますので、まず鼻の中をさわらないということをやってみる価値はあると思います。
もし鼻の中にティッシュペーパーや指や綿棒を入れていない、あるいは入れないようになって2〜3日たってもまだ鼻の中が痛い場合はためらうことなく耳鼻咽喉科外来を受診して下さい。抗生剤等の内服薬や塗り薬を処方いたします。顔の中心の鼻が重いと調子がでないと思います。鼻をスッキリと軽くしてから春を楽しみましょう。
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