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Tea-break・・・矢部院長からのちょっといい話

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○ 2022年2月  2022年花粉情報・治療法

 2022年もまた新型コロナウィルスの話題とともに明けました。オミクロン株という新しい相手です。新型コロナウィルスとの戦いももう終わりかなと思うと、別の角度から攻めてくる。なかなか手ごわいですね。皆様いかがお過ごしでしょうか。

気候と言うのは気温や湿度などいろいろな要素があります。たとえば2月はじめごろというのは関東地方では気温は真冬と思わせるほど低いのですが、日照時間が徐々に長くなり、太陽の高さもわずかずつ高くなり、明らかに12月の冬至のころの気候とは異なります。春の到来を予感させるような明るさがあります。
そして、それとともに始まるのがスギ花粉の飛散です。新型コロナウィルスがはやろうがはやるまいが、とにかく毎年2月になると来るのがスギ花粉です。スギ花粉に大変敏感な方は、1月ごろからくしゃみ、鼻水、眼のかゆみ等の症状を訴えられて受診されました。実は1月はじめからごくごくわずかですが、スギ花粉は飛散しているといわれますが、ほとんどの方はまだまだ感じない時期です。それが2月になると、徐々に飛散量がふえ、ある量をこえると飛散開始したといわれます。

前回(2021年12月)には、NPO法人花粉情報協会が発表した第1報をお知らせしましたが、今回は第2報(2021年12月23日)です。それによりますとまず「2022年のスギ花粉の飛散開始は西日本でやや遅く、その他の地域は平年並みになる」 これは飛散開始時期のお話です。

そして飛散量に関して(こちらの方が気になる方が多いと思いますが)は「東北から関東、北陸、東海にかけては前年の1.5〜3倍、過去10年の平均値との比較では、近畿から西の地方ではほぼ例年並み、東北から関東、北陸、東海にかけては1.1〜1.7倍になる見込みです。」

昨年の1.5〜3倍という文面にはちょっとギョッとさせられると思いますが、昨年が少なかったため、昨年との比較ではこのような数字がでてきますが、過去10年の平均値との比較では1.1〜1.7倍とやや多いぐらいです。たとえば東京では2022年の予報が5,816個、昨年が3,633個なので昨年と比べると1.6倍ですが、予報値5,816個と過去10年間の平均4,786個とを比べますと、1.2倍となります。平年並みかやや多いという数字です。ですからきちんと準備していればものすごくひどいことにはならないと思います。

それに今は幸いなことに新型コロナウィルス対策のために皆さん外に出るときは必ずマスクを着用しています。マスクの着用は花粉症にとっても花粉対策の基本のキです。スギ花粉症の治療のうち、自分でできる「セルフケア」の中の「外出時にマスク、メガネを使う」にあてはまります。
2月上旬の時期ですとまだ花粉の症状が出ていない方々の方が多いと思います。そういう時にできる「初期療法」というものもあります。もう一度どういう治療法があるか整理、確認してみてください。

■スギ花粉症の治療

アレルギー性鼻炎の治療として、次の4点があげられます。

(1)セルフケア(原因抗原であるスギ花粉をよせつけない)
(2)薬物療法
(3)手術療法
(4)アレルゲン免疫療法

このうち、だれでも比較的手軽に実行できることとして、(1)と(2)についてまずお話しいたします。

(1)セルフケア(スギ花粉の回避)

外出時
①花粉情報に注意する。
②飛散の多い時の外出を控える。外出時にマスク、メガネを使う。
③表面がけばだった毛織物などのコートの使用は避ける。

帰宅時
④帰宅時、衣服や髪をよく払ってから入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。

在宅時
⑤飛散の多い時は窓、戸を閉めておく。換気時の窓は小さく開け、換気は短時間にとどめる。
⑥飛散の多い時のふとんや洗濯物の外干しは避ける。
⑦掃除を励行する。特に窓際を念入りに掃除する。

(鼻アレルギー診療ガイドライン2013)
これらは治療の第一歩で患者さんのみができることです。

(2)薬物治療

薬物を使う治療で、まず皆さんが思いうかべる治療法だと思います。
最初に「初期療法」と呼ばれる薬の使い方をおすすめします。
花粉症の初期療法は花粉が飛びはじめる前から花粉症の薬(内服薬や点鼻薬)を使いはじめるという治療法です。たとえば、東京では2月上旬から始めることが望まれます。症状が出ていないのに薬を使うことに抵抗を感じる方もいらっしゃると思いますが、次のような効果(いいこと)があります。

①花粉症の症状が始まるのが遅くなる。
②花粉症の症状が軽くなる。
③薬の量や使用回数を減らすことができる。

花粉症などのアレルギー性疾患は症状が悪化する(重くなる)と薬が効きづらくなります。しかし、症状が軽いうちに薬を使いはじめると、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすく、その結果、そのシーズンの症状を軽くすることができます。
ここで花粉症の薬をのむときの注意です。
①花粉が飛ぶ量は雨や雪などの自然条件で減少する時期もありますが、薬の使用は途中で中断せずに、花粉飛散が少なくなる時期(スギ→4月後半、ヒノキ→5月中旬)まで継続することが望ましい。
②薬によっては眠けをもよおすことがあるため、車の運転、精密な仕事、高い所での作業などには注意して下さい。
③アルコールといっしょに内服しない。
④眠気やだるさが強かったり、他にからだの異常を感じたときは、主治医に知らせて下さい。

(3)手術療法

くしゃみや鼻みずという症状は比較的、薬による治療が有効ですが、鼻づまりにはききづらいといわれています。手術療法は鼻づまりの強い人に、鼻閉の改善を目的におこなうことが多いです。手術の方法には次にあげるようなものがあります。

○アルゴンプラスマ手術
○電気凝固法
○レーザー手術
○その他

(4)アレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法はこのコラムでも何度かとりあげましたが、

①皮下注射による方法
②舌下免疫療法

の2つがあり、②スギの舌下免疫療法が平成26年10月から新たにできるようになりました。
実際問題として、注射をうけるために毎週医療機関を受診するということは大変な手間と時間がかかるために、だれでもできるという方法ではありませんでした。その点、舌下免疫療法は、1ヶ月に一度の受診ですみます。痛い注射も受けずに済みます。大変おすすめなのですが、1点だけ注意してください。それは始める時期です。花粉が飛び始めてからはできませんので、今、現在は無理です。
御希望の方は、申し訳ないのですが、来年の花粉症シーズンのためにことしの6月〜12月に来院してください。ことしも1月〜5月は始めることができません。

花粉症シーズン中は、日常生活での生活習慣も大切です。花粉症の症状を悪化させる花粉以外の要因には次のようなものがあります。

①ストレスの多い生活。
②不規則な生活リズム。睡眠不足。
③高たんぱく質や高脂肪の食生活。
④排ガス、大気汚染→排気ガスなどで汚染された大気中の微粒子が免疫反応をおこす抗体を産生しやすくし、花粉症の発症を促進する。
⑤アルコール→鼻閉悪化

以上2018年2月コラムより一部抜粋

以下2020年コラムより抜粋

 ことしのスギ花粉症治療の新しい点は、スギ花粉症の分子標的治療薬が出現したことです。ただ、この分子標的治療薬というのは、スギ花粉症の患者様すべてが対象とはならないという点にご注意ください。スギの花粉症の患者様でかなり重症の方対象です。投与方法は皮下注射です。1ヶ月に1〜2回程注射します。

 まずこの「分子標的治療薬」という聞きなれないことばですが、たとえばがん治療薬のオプジーボは1度くらい聞かれたこともあると思います。2018年本庶佑氏がノーベル医学・生理学賞を受賞したことをきっかけに脚光を浴びました。これがスギ花粉症に応用されたものがゾレアです。ゾレアIgEというスギ花粉症をひきおこすおおもとに対する抗体薬です。スギ花粉症患者様のうち、通常の抗アレルギー薬を用いても症状がおさまらない方対象となっております。ですからスギ花粉症の患者様が診療所にもし、はじめて来院されてもすぐにこのくすりを使うわけにはいきません。まず(少なくとも1週間は)通常の抗アレルギー薬を使っていただきます。それで効果が十分でない場合、ゾレアを使う可能性もでてきます。ここで血液検査を行い、スギに対するIgEが6段階評価で3(+)以上あることが必要です。さらに、血液中のIgEの量と体重から注射する量がわり出されます。たいていの患者様は月に1回の注射です。血液中のIgEの量と体重によっては月に2回の注射の方もいらっしゃいます。

 そしてもうひとつの問題点は、この薬が非常に高価であるということです。月に一度の注射で保険の自己負担3割の方(大多数の方です)でひと月に自己負担が約18,000円〜です。これが2〜3ヶ月(2月〜4月)つづきます。
 つまり、通常の内服薬だけでは症状がおさまらないほどのスギ花粉症の患者様でひと月にさらに18,000円〜の自己負担を2〜3ヶ月払ってもかまわないという方がこの薬を使うことになります。たとえばひと月18,000円〜払えば1回の注射で1ヶ月楽にすごせると考える方もいらっしゃると思いますが、通常の内服薬は毎日きちんと内服してでのお話です。

 花粉症の治療の選択肢が一つ増えたということは大変良いことだと思いますが、このゾレアという薬は花粉症の方みんながつかえるというくすりではありません。大変重症である、高価である等のハードルをこえて使うことができるくすりです。

 昨年からスギ花粉症の治療に新しい分子標的治療薬が加わりました。10年前に比べると、少しずつですが、スギ花粉症の治療法も進歩しています。スギ花粉症の方々の春が1日も早く快適なものになることをお祈りいたします。 

 ことしのスギ花粉症の季節は思ったより早くはじまりそうですので、早め早めの準備がよいと思います。初期療法はもう始められます。症状がまだ出ていない方も早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

 

ことしの花粉症は昨年と比べると残念ながらつらくなります。平年(10年間の平均)と比べると同じかやや多めです。ここのところ10年平均もけっして少なくないので早めに準備はした方がよいと思います。

 あたたかい春が訪れる前にもうひとがんばりですね。

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